新聞奨学生制度とは

 ここでは新聞奨学生制度についてなるべく分かりやすく説明したいと思います。ただしほとんどが私が在籍していたお店を例にとってありますので、全ての新聞奨学生が同じような環境であるとは考えないでください。数多くの新聞奨学生のほんの一例として見てください。そして、新聞奨学生はお店によって環境が随分違います。配達時間も1時間前後は差があったり、給料も違う所もあります。その辺はこのホームページのリンク先から、他の新聞奨学生のホームページを見ていただければ、色々な新聞奨学生の状況がわかるので是非他のページも覗いてみてください。そして、「それぞれの叫び」というコーナーでは、他の新聞奨学生の先輩にメッセージをいただいています。それらも参考にしてみると良いでしょう。

目次

1.新聞奨学生ってなんですか?
2.なぜ新聞奨学生になる事を決めたのですか?
3.どんな生活をしていますか?
4.仕事の内容
5.集金業務について
6.休みについて
7.時間割の例
8.待遇
9.これから新聞奨学生になる方へ
10.新聞奨学生になろうかどうか迷っている方へ
11.申し込み方法
12.新聞奨学生制度の問題点
13.新聞奨学生が奨学生ではないお店
14.私の提案する改善案1(夕刊無しのBコース)

1.新聞奨学生制度って何ですか?

 大学や短大、専門学校などに通う学生を対象とした制度の事で、新聞配達をする事を条件に住居、学費、食事などを賄ってくれる制度の事。ゆえにこの制度を利用すれば、親の仕送りなどを必要とせずに、ほぼ98%自分の力で学校に通う事が出来る(はずである)。ただし、尋常ではない毎日の仕事に耐えられればの話であって、決して楽なものではない(金銭的には楽)。ちなみに、この制度を利用せずに、親の仕送り無しに自分の力だけで学校に行こうとすると、余程の貯金がない限り、もっと尋常ではないアルバイト時間を要するのではないかと私は思う(非人道的なアルバイトを選ぶ場合は別かも)。ちなみに、新聞奨学生にも、読売や毎日など、色んな所があって、私の場合は朝日新聞の奨学生をやっています。

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2.なぜ新聞奨学生になる事を決めたのですか?

 元々しょうもない母子家庭丸出しのザ・ビンボーだった私は、本来なら、高校卒業後は地元に残って就職して、母親の助けになる必要があったのだけど、どーしても大学に行きたいとわがまま言ってました。でも、大学なんて私立だったら、入学金や授業料で、初年度で100万近く、国立ですら50万は必要でで、とてもそんなお金はありません。では、どうやったら大学に行けるかって考えていた時に、新聞奨学生っていう制度の存在を知りました。これしかないって思って、大学合格と同時に申し込んで、奨学生になる事を決めたのです。でも、この時点で、大学なんて行かずに、地元の企業にでも就職していれば毎日の生活自体はずっと楽だったかもしれません。わざわざ新聞配達なんてつらい仕事をしてまで、大学って行く価値があるのか?って思うと、う〜んって思ってしまう。でもこの制度を利用する事によって、親の仕送りは必要ないのはもちろん、むしろ親に逆仕送りしているといった始末である。

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3.どんな生活をしていますか?

 とりあえず、一日の生活を表にしてまとめてみました(平日の場合)
AM3:30
〜3:40

起床

装備を整えて部屋を後にします。
3:40

4:20

配達準備

お店に入り朝刊配達の準備をします。新聞に一部ずつチラシを折り込み、私の場合は130部ぐらい入れる。チラシを入れるのは全て手作業なのです。また、雨の日に包むビニールなども一部ずつ手作業で入れる。これが結構時間がかかる。さらに配達順路通りに十数種類ある新聞を、順番通りに組む。朝日、日刊スポーツ、朝日、朝日、茨城、朝日、という感じに。
4:20

6:40

朝刊配達

組み上げた新聞をバイクに積み込み、配達開始。田舎なので、建物同士の距離が離れているため、150件ぐらいの配達なのに、およそ2時間10分ぐらいかかる。以前は途中で休憩してたのだが、それが結構タイムロスになってることに気がついたのでやめにした。ちなみに範囲がとても広いため、走行距離が相当有り、一回の配達でバイクのガソリンが半分ぐらい減ってしまう。冬はモロに風を浴びてしまうのでとても寒い。
6:40

7:00

朝食

ご飯は朝夕と、お店の社長(所長)の奥さんが用意してくれます。まかないつきってやつです。ゆえに自炊してるわけではない。というより、自炊の必要が無いし、その時間も無い。。ちなみに昼間は自分でテキトーに食ってます。働いた後のの朝飯がやっぱりいちばんおいしいですね。
7:00

8:00

学校の準備

部屋に戻って、ちょい休憩。この時余裕があればメールチェックし、さらに間髪入れずに学校の準備。一時間目から授業が無い日はもうちょっとゆっくりしている。
8:00

8:30

登校

学校までは通勤の車で道が混んでいるので、バイクで30分もかかってしまう。渋滞の脇を抜けていってもあまり変わらない。雨さえ降らなければ楽勝コース。雨の日はカッパを着て出かける。バスに乗ればいいのだが、バスストップは遠いし、お金も時間もあまり無いのでバイクで行ったほうが早い。
8:30

PM3:50

授業

ほとんど寝てしまうけど、一応授業。サボってしまうこともしばしば。しかしここで言うサボるとは、単に行きたくないからという理由ではなく、体がダウンして行けなくなるという意味です。よほど体調が悪くない限りは休むということはありません。自分で学費を払っているのですから、そのような意識があると休むことはできない。単位を落としたら、お金と時間の無駄になってしまう。大学では一応教育学部に在籍しています。しかし教員を養成するコースでは無いところにいるので、きっと教員にはならないでしょう。情報処理のようなものを勉強しています。本当はもっと遅くまで授業をとることができるのだけど、夕刊配達のためにできない。本当は部やサークルに入りたいのだけど、夕刊配達のためにできない。本当は友達と遊びたいのだけど、夕刊配達のためにできない。
3:50

4:20

下校

急いで店まで戻ります。夕刊配達は本来3時からはじめるもの。学校が早く終わった日はもっと早く帰って夕刊配達をするのですが、たいていは遅れてしまいます。けれども私の授業時間の事情を店の人達はわかってくれているので何も言いませんが。
4:20

5:30

夕刊配達

夕刊はチラシがなく、朝日と日本経済新聞だけなので、特に準備をすることなくいきなりはじめることができます。朝刊と違って街中を配ってます。75件ぐらいでおよそ1時間といったところ。
5:30

6:30

自由時間

月末にはこの時間帯に集金に出かけます。月末は集金が終わるまで本当に時間がありません。土曜日や日曜日は日中集金をすることになります。
6:30

7:00

夕食

夕食もまかないつきです。寮費はとても安いため、食事の量はあまりありません。まかないの食事だけで生活してると、確実に食が細くなります。
7:00

9:30

自由時間

9:30

就寝

一日のエネルギー消費量は尋常ではないので睡眠はしっかり長くとりたい。
 授業などがフルにある日はこんな感じで忙しいです。月末になると集金をします。空いている時間帯を使うことになりますが、平日はほとんど無いので、土曜か日曜に集中することになります。月末までに200件ぐらいあるうちの80%を収めなければなりません。間にあいそうも無いときは、平日でも授業が早く終わったりすれば夕刊を早めに終わらせ、間髪入れずに集金です。

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4.仕事の内容

 奨学生にはAとBの二つのコースがあり、それぞれ仕事量が違います。Aは朝刊配達、夕刊配達、集金が基本です。Bは集金は無しで、朝刊と夕刊の配達だけとなります。ただしAは月に6日の休日があるのに対し、Bは週に一日の休み、月に約4日の休日となります。さらにAはBよりも給料や奨学金が多いです。時間の余裕をとるか、お金の余裕をとるか、と言ったところです。ちなみに私はAのコースをしています。なお、それらの基本業務に加え、さまざまな付随業務があります。この付随業務は配属されるお店によって大きく違うようです。私のお店では付随業務はあまりありません。事務の簡単な仕事や、パンフレットなどの配布があります。ほとんどのお店では付随業務としてチラシ折込があるようです。私の場合は通学時間の関係などもあり、チラシ折込は免除されています。

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5.集金業務について

 新聞奨学生の業務の中で、もっとも過酷であり、大変な仕事だと思います。何が大変かと言うと、時間の使い方が大変なのです。私の場合は、朝刊配達の区域の購読者、約150件ほどを集金に行きます。集金は毎月20日から始まり、その月の分の新聞代を集めに行きます。8月20日から始まる集金なら、8月分の新聞代を払ってもらうことになります。そして、20日からその月の月末まで(30日か31日)に、区域内の全代金の、80%を集めて、納めなければなりません。そして、残りの20%は翌月の14日までに、集める事になります。月末がたいていは大変です。しかし、80%を納めた後の20%を集めるのも大変なのです。何しろ何度も訪問して、なかなか家に居ないお客なので、そうそう簡単には集められません。あるときは深夜に行ったり、あるときは早朝に行ったり。こうなってくると生活のリズムもへったくれもありません。明日に来てくれ、何日に来てくれ、夜に来てくれ、などと、時間指定などされると、その日にプライベートに予定しておいた行動すらも制約されてしまうことになります。つまりどの時間に労働するか、もしくは何時間かかるか、明らかになっていないのです。コース、AとBの違いに、集金の有り、と、無し、があります。私は集金のある、Aの方をしています。しかし、その差というのは歴然としており、集金の有りと無しでは大きく違います。給料に4万以上の差があったり、奨学金が何十万と違うのもその理由です。Bならば、配達と学校だけしていればいいので、生活のリズムがつかみやすいと思います。しかし、Aはその合間を縫って、集金に時間を割かなければなりません。そうなってくるとリズムもへったくれもなくなってくるのです。月末は勉強する時間などありません。下旬の土日はプライベートな時間に使えないと思います。ほとんどのヒマな時間が、集金に費やさなければならなくなります。また雨などが降ったら集金はできないものとしています。やろうと思えばカッパを着てでも出来ますが、ほとんど挫折してしまいます。さまざまな紙の配布物があるので、それが濡れてしまうわけには行かないからです。あと、領収書などの証券も、濡らしてはまずいのです。なによりも体が辛いです。20日以降に雨の日が続くと大変なことになります。唯一晴れた日に、雨でできなかった分として、倍動くことになります。非常に疲労が激しいものとなります。下旬の天候だけは、毎月祈る思いです。

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6.休みについて

 Aコースでは月に6日、Bコースでは週に一日の休みがあります。Aコースで勤めている私は一ヶ月に6日間、休みがあります。ほぼ、週に一日か二日という割合です。6日間は、毎月の休刊日を含めて6日間ということです。休みは日付で決まっています。曜日で決まっていないので休みのリズムはランダムです。なので、仕事は休みでも学校はあったり、学校は休みでも仕事があったりします。つまり、一日中休めると言う日はほとんど無いと言う事です。
※休みの例
毎月8日、15日、16日、23日、30日、新聞の休刊日(計6日)

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7.時間割の例(大学2年次)

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1限目
8:50〜10:20
英語 ネットワーク デザイン
2限目
10:30〜12:00
記号論 生物学 福祉論 法学
3限目
12:40〜14:10
スポーツ 図学 デザイン
4限目
14:20〜15:50
コンピュータ 文化
5限目
16:00〜17:30
 学校では仕事とのバランスを考えて、無理の無い時間割を組みます。私の場合は、もう少し授業をとることもできるのだけど、月末の集金のことを考えて、空き時間を作るようにしています。夕刊配達があるために、5限目の授業はとれません。通学時間の関係もあり、さまざまな制約によって、授業を十分に取ることができません。私は今期もギリギリといったところです。しかし、毎回、このようなパターンです。びっしり入れる日は一日ぐらいにしておきます。さもないと、体がもたないので。月曜日はスポーツがあるので思いきりエネルギーを消費してしまいます。火曜、水曜、金曜を、早めに学校から帰れるようにして、夕刊をその分早めに配達することで、その後の時間を集金の時間に使います。月曜と木曜は集金が出来ません。朝は月曜と火曜は、朝刊配達が終わった後に、少し休憩ができます。たいていの奨学生は、このように十分に授業を受ける事が出来ないため、奨学生をやりながら、4年で卒業する人はほとんど居ないようです。私も4年で卒業できるかどうかわかりません。しかし、いくら授業をまじめに受けても、単位を満たすということは、時間との制約により、物理的に難しいものです。集金が無ければ、または土曜日曜だけで終わるぐらいの範囲ならば、授業をもっと入れることができるのですが、月末のことを考えると、どうしても体のことを考えて、時間割を組む事になります。

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8.待遇

 上の一日の生活の表を見てもらえればわかると思いますが、もっとわかりやすく、やらなければならない仕事は何であるか、その代わりどういった待遇があるかを下にまとめてみます。
仕事の量 待遇

朝刊配達

配達前のチラシ入れなどの準備時間を含めて約3時間(配達2時間30分)

夕刊配達

準備無し、配達のみで約1時間

集金

毎月20日〜翌月14日頃までの間に行う。基本的に暇さえあれば行かないと集金は終わらない。件数は約200件。その内の約80%以上(160件ぐらい)を20日〜月末までの間に集めなければならない。残りの20%は翌月の14日間をかけて集める。
かかる時間はのべ時間で15時間程度。

チラシ折り込み

私の場合は毎日やっているわけではないので、それほど大変ではありません。やたら多いチラシの日には手伝うといった程度です。

事務

順路帳を作ったり簡単なものです。朝刊配達が終わった後に、パッと終わらせることができる程度です。

毎月の給料

これは当然ですね、私の場合は毎月13万から寮費が引かれて10万円弱の給料が出ます。無駄使いをしない限りは学生にしてはかなり金銭的には余裕ある生活になるでしょう。

奨学金

毎月の給料とは別に、半年で30〜50万ぐらい出ます。これを学校の学費に充てるわけです。

個室

私の場合はアパートの一室に住んでいます。寮ということになっていますが、お風呂とトイレ、台所がある一室なので、普通にアパートを借りていると言った感じです。地方なので待遇は良い方だと思います。その代わりかなりボロい部屋ですが(笑)。壁がはがれたりしますがそこは壁紙を貼ったりしてしのいでいます。他の地方などはお店の一室という所もあるようです。
 どうでしょうか、仕事の割に待遇が良い、または待遇の割に仕事がきつい、どう感じるかは人それぞれだと思います。私の場合はうまい具合に釣り合ってる感じがします。でも朝刊がちょっと時間かかるなあ…。でもその代わり夕刊が早く終わりますね。ちなみにこれはAコースですので、Bコースになると、ここから集金が無くなり、給料、奨学金がある程度下がる、と言うことになります。

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9.これから新聞奨学生になる方へ

 これから新聞奨学生を考えている人には、このページを見てかなり参考になったと思います。もっと詳しく知りたい人は、他に奨学生日記や配達の風景などがあるので、それを見て下さい、日記はたまにしか書いていませんが(笑)。新聞奨学生は根性さえあれば誰だって出来ます。お店の人、お客、いろんな人から苦情や文句を言われても耐えられる人、寒いのとか熱いのが平気な人、睡眠4〜5時間でなおかつ寝起きすぐに動ける人だったら(難しい…)。とにかく根性が必要です。新聞奨学生はきついことだらけに聞こえますが、メリットはたくさんあります。例えばお金に関しては困らなくなります。私は車買ったりインターネットしてるので、お金に困っていますが(笑)でも逆に言えば仕送りとか無しで、学生の時点で車持ったりできるんですよ、っていっても地方だからなのかもしれないけど。パソコンも自分で買えたし、ネットなんてテレホ無しで真っ昼間から繋いでるんですよ(笑)それでも全部自分のお金でまかなっています。こんな感じで自立できるって所が何より一番のメリットですね。あと学生を卒業して社会人になったとき、相当生活が楽に感じるかもしれません。普通だったら学生から社会人になることは、生活が忙しくなると言うイメージですが、新聞奨学生だったらその逆ですね。いくら社会人でも新聞奨学生よりも忙しい生活なんて考えられないですから。そういう意味では修行みたいなものですね。それに対してデメリットですが、やっぱりいろいろ出来ない事が多いですね。人によっては友達とかもなかなか遊べないので作るのは難しいかもしれません。サークルや部も入れないと思います。勉強の時間もあまりとれないです。あと学校で授業を受けるとき眠いので、マジになって授業受けられないかもしれません。私の場合はほぼ寝てます(笑)。あと、これが一番痛い話しなのですが、恋愛するのは相当難しいかもしれません。彼女彼氏を作ることは出来るでしょう、でもその後続けられるかどうかは難しいですね、何より忙しくてあんまりデートとか出来ないですから。理解のある恋人で無いと付き合っていくのはつらいかも。20前後の一番恋愛しやすい(すべき?)時期,そんな時期にいくら新聞奨学生という修行に身を投じるとは言え,青春を謳歌したいとは誰でも思うでしょう。でもこれらデメリットは、頑張れば全て克服できる事ばかりです。要するに時間を頑張って作れば良いのです。学校の課題は時間をかけないですぐ終わらせる、普段疲れがたまらないように、夜はしっかり寝る、休めるときは必ず休む。集金や仕事はなるべく早く終わらせる、なおかつ手を抜く(笑)適当にやっておかないと体が持たないので…。慣れれば仕事なんて眠ってても出来ますので(笑)。時間の大切さがよくわかるようになりますね。現に私も1年生から2年生の前半にかけては自分の生活を維持するだけで精一杯でしたが、その後は彼女もでき、楽しく充実した毎日を送っています。

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10.新聞奨学生になろうかどうか迷っている方へ

 色んな人に質問されることの一つに,新聞奨学生はやってて辛いですか?とか食事はまずいですか旨いですか?というような質問があります。でも私は新聞奨学生はこういう生活をしますよ,とかこういう仕事をしますよ,とか状況を伝えることは出来ますが,それが大変ですよとか楽ですよと安易に人に言えないんですよね。こないだテレビである番組がやってたんですけど,その番組の中で「新潟から一人で上京して都内の専門学校に通う娘」の事を心配する親の話が出てきたんですが,その親の話では「娘が東京で買う米はまずくてご飯が食べられない,ここ2,3日白いご飯を食べていないそうで可哀想」と語っていた。東京に生まれた時から住んでいてずっと東京でご飯食べている人からすれば,なんでそんなことで悩むんだ?とか贅沢な悩みだとか思うでしょう。でもきっとその専門学校の女の子も,親も深刻な悩みなのでしょう。そりゃ新潟の米に比べれば東京の米はまずいかもしれませんけどね。要するに,ある人には特に苦を感じる事無く幸せに思えるような状況でも,ある人にはとんでもなく辛い状況に感じることがあるわけです。新聞奨学生なんかも同じことが言えます。高校生の時に超エリートの野球部に入ってて,毎日辛い練習に耐えてきた人が新聞奨学生をやりたいって言うなら,全然新聞奨学生生活なんて余裕だと思います。でもそうじゃなかった人にしたらものすごく辛い生活なわけです。だから,新聞奨学生を目指す人に,私はその人が今までどんな生活をしてきたかわからないので,安易に楽ですよ大変ですよとは言えないのです。私の店で出される食事はいつも冷めてます,ご飯もおかわり出来るほど量がありません。そんな状況でも私にとってはご飯が食べられるだけでも幸せなんですが,ある人にとってみればこんなマズイ飯は食えないと思って嫌になるでしょう。ある人は新聞奨学生をやってても大学,専門学校に行けること自体が幸せに思えても,一方の人は何でおれだけこんな楽しくない学生生活なんだ?と思うかもしれません。それらはもう今までに育ってきた環境や価値観の違いなので,どうすることもできないわけです。新聞奨学生が耐えられるかどうか?誰かが大変だから辞めたほうが良いって言われても,それは自分にとっては耐えられるかもしれませんし,その逆もあります,それは自分自身で判断しましょう。

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11.申し込み方法

 自分の経験上から簡単に申し込み方法について触れてみたいと思います。ただしこれらは全て朝日奨学会を例にとってあります。他の奨学会でもたいていは同じようですが、一応毎日奨学会では途中でお店の見学が出来たりするみたいです。

1.パンフレットを取り寄せる
 新聞奨学生制度のパンフレットは、ホームページからメールなどで請求、電話で取り寄せてください。高校3年ぐらいになると送られてくるリクルートブックや進学の資料などにも新聞奨学生の資料請求用のハガキが付いている事もあります、それでも取り寄せる事が出来ます。各学校の進路指導の教室などにももしかしたらあるかもしれません。私は一応高校2年の時にパンフレットを請求し、とりあえず参考までにとその年度版のパンフレットをもらいました。翌年の高校3年の時に新しいパンフレットを送ってきてくれました。

2.パンフレットにとじ込んである申込書と健康診断書を送る
 パンフレットを取り寄せると、申込書と健康診断書がとじ込んであるので、それらを記入して郵送、もしくは該当する奨学会に持参します。この申込書を送ったからと言って即奨学生が決定するわけでなく、あくまで予約という形になります。志望校が決定次第、なるべく早く送った方が良いでしょう。志望校に合格してからが正式な新聞奨学生への手続きが始まる事になります。また、キャンセルする事も出来るので確実に新聞奨学生になる自信が無い場合でも、とりあえず送ってみた方が良いと思います。私がこの申込書を送ったのは、9月頃だったと思います。

3.奨学会のアドバイザーなどの担当から電話や面談を受ける
 パンフレットの名目上ではここで、勤務についての心構えや注意などを受けるとなってますが、そんな堅苦しいお話ではなく、今後のアドバイスなどを受ける事になります。とりあえずここで不安に思った事は全て質問しておくと良いでしょう。赴任先のお店はどういう環境なのか、お部屋はどうなってるのか、など。

4.進学校決定
 志望校の試験を受けて、合格次第すぐに奨学会に電話連絡しましょう。「採用通知」というのが送られてきます。ここで正式に新聞奨学生になることが決定し、働くお店と住む場所も決定します。私は12月の下旬頃に合格が決定したので、すぐ連絡して手続きをしました。その後、奨学会の新聞社の本社や支社などで研修というのを受けることになります。研修と言っても健康診断や簡単な説明などです。ここで新聞配達用語や、順路帳の見方など新聞配達の基礎を覚えさせられる事になります。でも私の場合はあんまりこの研修というのは意味無かったです。配達用語などは実際に働きながら覚えていきました。だいたいこの研修というのは3月中にするみたいです。私は3月16日ぐらいに行きました。

5.赴任
 採用通知に赴任予定日というのが書いてあるので、その日にお店に赴任します。私は3月20日にお店に入りました。二日間は荷物をまとめたり転入届、免許証の住所変更をするようにと言われたので、実際にお仕事を始めたのは22日の朝刊配達からでした。

※締め切りについて
 最近はどうかわかりませんが、だいたい締め切りは第3次ぐらいまであって、1次募集が10月31日まで、2次募集が12月31日まで、3次募集が翌年の3月31日ぐらいだと思います。この締め切りというのは、2のパンフレットにとじ込んである申込書を送る締め切りです。ここで、締め切りは3月までか…と安心してはいけません。定員になり次第締め切りしてしまいますし、遅いと後々手続きが詰まってしまって忙しくなってしまいます。後これはこのホームページで得た情報なのですが、早く申し込みをした方が良いお店に行けるという情報がありました。確かにその通りで、例えば「うちのお店からは卒業生をたくさん出してますし、安心ですよ、心配しないで是非うちの店に来て下さい。」というようなお店から埋まっていくのだと思います。私のお店はそんなノリでした。遅いと、環境の悪いお店に行かされてしまうかもしれません。

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12.新聞奨学生制度の問題点

 さて、これまでは新聞奨学生制度に関して割と美談とも言えるお話が多かったと思いますが、これからはもっとダークな問題点を洗い出していこうと思います。そもそも自分が割と前向きでいられるのは、私がいるお店の環境が良いからなのかもしれません。他のお店ではそんな前向きな気持ちも、やる気も踏み潰されてしまうような酷い環境のお店があります。まずは以下の新聞労連のホームページの新聞奨学生コーナーを見てみると良いでしょう。

新聞労連ホームページ

 このホームページによりますと、過去にある新聞社の奨学生が過労死をしてしまった事件があったそうです、その裁判はこれまでに何度か行われ、既に和解が成立したようです。その和解内容は、その新聞社の奨学生制度を今後改善するという方向でまとまったということです。ここで考える事は、やっぱり過労死してしまうような人が出ないと、それも裁判まで行かないと待遇は改善されないのかな、ということです。私が思うに、酷い待遇のお店はそういう事件がある前に辞めてしまう学生が多いんじゃないかと思うんですよね。ようするに過労死してしまう前に辞めてしまう人がいるから事件にならないだけで、実はその過労死してしまった方のいたお店のような環境は他にもたくさんあると。最近設置した「それぞれの叫び」という投稿コーナーを見てください、よくわかると思います。
 私は新聞奨学生制度に確かにありがたい気持ちはありますが、決して良かれと思って甘んじてるわけじゃありません。間違いなく理不尽な部分は多いですし、ある程度我慢していた部分も多いです。ですが、これと同じ事をこれからの後輩にもまぁ我慢しとけよ、運良く良いお店に行けるといいね、っていうノリでいるわけには行かないのです。今後は新聞奨学生制度の待遇改善をホームページでは訴えかけていきたいと思います。

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13.新聞奨学生が奨学生ではないお店

 新聞奨学生制度の問題点として、新聞奨学生が奨学生で無いお店があります。”奨学”という意味を辞書で引きますと、「学業、また、学術研究を奨励すること。」とあります。要するに新聞奨学生というのは、本来ならば学業優先で、仕事をキッチリこなして余った時間で暇さえあればお勉強しましょう、という名目なわけです。その定義をしっかりと守っているお店は確かにあります。ですが、中には”暇さえあれば拡張しましょう”というお店がたくさんあります。それが、新聞奨学生が奨学生ではないお店という意味です。「それぞれの叫び」を見てますと、配達、集金は何とかこなせても、付随業務で大変迷惑している学生さんがたくさんいます。付随業務が、”付随”でないお店もたくさんあります。私のお店は学業優先で何か付随業務をお願いされる時も、まず社員の方は最初に「今日は忙しくない?」とこちらの状況を確認していただけます。私のいるお店は大変出来たお店ですが、そのお店が今の時点では何故か「恵まれているお店」と言う事になってしいまうわけです。あくまで新聞奨学生制度の基準に準じたお店である、ただそれだけで恵まれてるお店になってしまう。それだけ基準に反したお店が多いというわけです。
 もしそのような”奨学”生扱いされないお店に配属されてしまった場合は、奨学会の方に連絡して別のお店に移らせてもらえないかお願いしてみるといいと思います。酷い環境のお店が新聞奨学生制度の全てではありません。そして、ここで新聞奨学生制度の改善すべき点は、それらの基準に反したお店(酷い所では労働基準法にすら反しているお店)に学生を配属しないこと、そしてそれらの販売所の監視や管理をしっかりとして欲しいという事です。
 全ての学生に平等な環境を与えてください、新聞奨学生をやり遂げた人が、良い販売所に恵まれたから出来たという理由にならないよう。新聞奨学生を辞めてしまった人の中には、他のお店ならばやり遂げたのに、という声も聞こえてきます。

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14.私の提案する改善案1(夕刊無しのBコース)

 新聞奨学生の生活の中で最もネックとなる仕事は、実は朝刊配達でも集金でも無く、夕刊配達ではありませんか?少なくとも私はそうなのです。いや、キツさは確かに夕刊配達は他の仕事に比べてゆるいですけど、どうしても時間的なキツさというのがあるんです、頑張ってもどうしようもないキツさというのが。この夕刊配達という仕事、なんと通常の大学生が最も活動or勉強するであろう時間帯(夕方3時〜5時)に存在してるために多くの新聞奨学生がその時間の制限に悩んでいます。
 まず一つ目に夕方の授業が取れない、という制限があります。多くの大学ではやはり4,5限目は夕方2時30分〜3時以降にある所が多く、そのために取れない単位というのが存在してしまいます。勉強を第一に掲げる新聞奨学生制度の最も分かりやすい矛盾点です。そしてさらに理工系、特に医学や薬学関係に行く学生は実習などが多いので、放課後の時間がどうしても必要になってしまいます。そうするともう理工系の人達は新聞奨学生そのものが出来ないという事になってしまいます。
 二つ目にはサークル活動やお友達と遊ぶ事が出来ないと言う事。いくら遊ぶことが出来ないという覚悟を据えて新聞奨学生になったとは言え、やはり他の学生とのコミュニケーション、遊びは大事です。
 これらの問題を解決するために、新聞奨学会側からすると、「いやいや、学生の方がそれは折れてください。」という態度ではありませんか?いやいや、そうではなくて新聞奨学生制度側が折れる形になりませんか?
 そういう意味で私は新聞奨学生制度に夕刊無しのBコース(Cコース)の設置を提案します。既にこのCコースというのは実施されてる店もあって、他の奨学生の方からも情報を頂きました。そして私のお店でもそれはありました。その内容は何かというと、「朝刊配達と集金の仕事をして、夕刊配達はやらなくても良い」というものです。ようするに夕刊配達の仕事が無くなり、代わりにそのまま集金へとシフトするような感じです。これなら唯一ネックとなっていた夕方の時間帯が解放され、新聞奨学生の生活にもかなりゆとりが出ます。絶対的に取れない授業が出てしまうということも無いでしょう。朝刊配達は朝のうちに終えてしまうし、集金も夕刊が無ければいくらなんでも合間を縫って出来るでしょう。
 今の所このCコースがある所はあくまでそのお店の所長の”善意”で行われてるに過ぎず、制度上で存在してるわけではありません。ただ、全ての地域でそれが出来るかというとそれは難しいのかもしれません。なぜかというと、私のお店のように地方で夕刊を取っている家などは朝刊を取ってる家の10%ぐらいの所ならば、夕刊配達をする人が少なくても済むんですが、都市部だとそうは行かないかもしれません。事実、Cコースがある所はやはり北関東など地方でしか聞いた事がありません。
 集金の方が人手に困ってるんじゃないかと思うし、Bコースのように集金をやらないコースが存在できるぐらいなら、夕刊をやらないで集金に回ってもらうコースがあってもいいんじゃないかと。難しいですけど何とか設置してもらいたいと思います。そうすれば理工系の学生にもチャンスが生まれるわけだし、学費やお金の事で悩んでいるのはむしろ理工系の学生の方が多いぐらいなのではないかと思います。

追記:後で確認してみたところ、今年から産経新聞奨学会では、「夕刊無しのBコース」が設置されたそうです。
産経は週休2日制にしたり、夕刊無しをいちはやく他より設置したり、実際全部の店が実施してるかどうかは別として、そういう学業優先の仕組みを積極的に取り入れてくれるのはうれしいですね。
00/11/23(木)

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